結論

全損になっても、残りのローンは消えません。
車の名義はお店のままなので、売るのも廃車にするのも自分だけではできません。

🔴 今日 警察に届け、買ったお店に電話する 🟡 同じ日 保険会社に事故を伝える。修理は返事を待つ 🟢 あとで 手元に残る車だけ査定と廃車を比べる

↓ まず下の図の順番どおりに動いてください。飛ばすと、あとで取り返しがつきません。

✓ 支払い中の車が事故に遭った このページの順番がそのまま使えます

✓ 全損と言われて残債が心配 残りのローンの話

✗ まだ現場にいる・ケガ人がいる 読むのは後で。救護と110番が先です

事故のあとに動く順番の図。今日は警察と販売店へ連絡しケガ人の救護が先、同じ日に保険会社へ連絡し修理は返事を待つ、査定と廃車を比べるのはあとで手元に残る車だけ
この記事の目次10項目

順番を間違えると、出るはずの保険金が出なくなる

事故のあとにやることは決まっています。先に修理したり、車を処分したりすると取り返しがつきません。

1. 警察に届ける。ケガ人を助け、危険を防ぎ、警察に報告するのは道路交通法で決まった運転者の義務です。届けないと交通事故証明書が発行されません。この証明書は保険金を請求するときの提出書類なので、届けなかった時点で保険の話が止まります。

2. 買ったお店に電話する。ここが自社ローンならではの一手です。車の名義はまだお店にあるため、車をどうするかにお店が関わります。連絡が遅れるほど話がこじれます。

3. 保険会社に伝える。約款では「事故の日時・場所・概要を直ちに通知すること」と決まっています。修理は保険会社の返事を待ってからにしてください。先に直すと保険金が出ない場合があります。

全損でも、残りのローンは消えない

いちばん誤解が多いところです。車が無くなっても、支払いの約束はそのまま残ります。車と借金は別の話だと考えてください。

全損でも残りのローンは残ることを示す図。車両保険金は本人に出るが上限は契約した保険金額まで。保険金が多ければ余りは手元に残り、少なければ差額は自分で払い続ける

そもそも「全損」には3つの形があります。保険会社の約款では次のように決まっています。

全損になる場合 中身
直せない 修理そのものが不可能な状態
修理費が高すぎる 修理費が契約した車両保険金額以上になる
盗まれて見つからない 盗難で発見されなかった場合

このうち多いのが2番目です。修理費がいくら高くても、出るのは契約した車両保険金額まで。ここが残債に届くかどうかで、この先の展開が決まります。

保険金は誰に払われるのか。原則はあなたです

「車検証の所有者がお店だから、保険金もお店に行くのでは」と心配される方が多いのですが、そうではありません。

損害保険会社は、所有権留保の車について、車検証の使用者欄に書かれた買主を車両の所有者とみなすと公式に案内しています。車両保険の保険金を受け取るのは、原則としてあなたです。

ただし契約の形は各社・各契約で違います。契約内容によっては扱いが変わることもあるので、事故の連絡をするときに「保険金は誰にいくら支払われますか」と一度確認してください。これを聞いておくと、お店との話も進めやすくなります。

自社ローンで買った車に車両保険が付いているかどうかも、ここで効いてきます。担保になる車が壊れると困るため、販売店の多くは加入を強く勧めます。ただし契約の必須条件にしているかどうかは店によって違います。自分の契約がどちらなのかは、契約書と保険証券を並べて確かめてください。

なお、車両保険に「車両全損時諸費用特約」を付けていれば、全損のときに別途お金が出ます。金額は車両保険金額の10%が目安で、多くの会社で上限20万円・下限10万円としています。廃車や乗り換えの諸費用に充てるためのもので、残債の穴埋め用ではありません。それでも数万円から20万円の差は大きいので、証券を見て付いているか確かめてください。

保険金が残債に足りないとき、どう動くか

保険金より残りのローンのほうが多い場合、差額は自分で払うことになります。車は無いのに支払いが続く、いちばんつらい形です。

精算の仕方も、支払いが遅れたときの扱いも、店ごとに契約書の中身が違います。ここは一般論で決めつけず、手元の契約書を開いて「期限の利益の喪失」「遅延損害金」「保険金の充当」の3つの欄を読んでください。書かれていなければ、お店に口頭ではなく書面で確認します。

放置がいちばん危険です。支払いが止まると遅延の扱いになります。次の順番で動いてください。

  1. 残債の正確な数字をお店に出してもらう 「いま全部払うといくらか」を書面でもらいます
  2. 保険金の見込み額を保険会社に聞く 1と2の差額が、これから背負う金額です
  3. 差額の払い方をお店に相談する 対応は店ごとに違います。分割の組み直しに応じてもらえることもあります
  4. 手元に車が残るなら、その価値も足す 次の章のとおり、廃車でもお金になることがあります

ちなみに、残債と保険金の差額を埋める保険は、カーリース向けの特約なら実在します。ただし個人のローン向けに一般に売られている商品は確認できませんでした。今から入って間に合うものではない、と考えてください。

車を勝手に売る・こわすのはやってはいけない

全損の連絡をすると、保険会社が車を引き取ることがあります。保険金を全額払った会社は、その車の権利を取得できると約款に定められているためです。逆に、会社が「権利は取らない」と言えば車は手元に残ります。

車の行き先 どうなるか
保険会社が引き取る 処分は保険会社側。自分で売り先を探す必要はない
手元に残る 自分で処分する。ただし名義がお店のままなので、お店の書類が要る
引き取らないが値がつく 車の残った価値を差し引いた額が保険金になることがある

そして廃車の手続きができるのは、車検証の所有者だけです。永久抹消登録も解体届出も、所有者の印鑑証明書と実印を押した委任状が要ります。名義がお店のままなら、あなた一人では1歩も進みません。ここでもお店への連絡が先になります。

手元に残ると決まった車は、ここでようやく値段の話になります。動くなら一般の買取査定、動かないなら廃車買取。窓口が違うと値段も変わるので、両方に聞いて高いほうに出すのが確実です。

動く車なら、まず買取相場を無料でチェック

動かない車・事故で大きく壊れた車は、一般の買取では値が付かないことがあります。その場合でも引き取りまで含めて対応できる先があるので、費用を持ち出す前に確認しておくと無駄がありません。

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※事故車・不動車・故障車など、状態を問わず買取査定するサービスです。買取額は車両の状態・地域により異なります(一部離島は対象外の場合があります)。

廃車にすると戻ってくるお金は3つ

処分の話が出たら、戻るお金も一緒に確認してください。ここを知らずに手放して損をする方が多いところです。

戻るお金 条件
自動車税 抹消登録した月の翌月から年度末までが月割で戻る
自賠責保険 抹消の証明書を付けて保険会社に解約を申し出ると、残り期間分が戻る
自動車重量税 解体を伴う抹消で、車検の残りが1か月以上ある場合

注意点が2つあります。軽自動車税には月割で戻す制度がありません。年度の途中で廃車にしても、この分は戻りません。もう1つ、リサイクル料金の預託金は、廃車として引き渡すと返還の対象外です。中古車として売るときだけ、買い手から相当額を受け取る形になります。

自動車税が戻るのは「業者に車を渡した日」ではなく「実際に抹消登録された日」が基準です。手続きが遅れると、そのぶん戻る額が減ります。

次の車をどうするか

車がなくなると生活が止まる方も多いはずです。ただ、事故の処理が終わるまでは金額が確定しません。保険金と残債の差額が見えてから、次の車の予算を組んでください。

残債が残ってしまった場合、その状態で次のローンを組むのは簡単ではありません。分割で買う選択肢を検討するなら、条件だけ先に確認しておくと動きやすくなります。

自社ローンの仕組みと、一般のローンとの違いを見る

よくある質問

Q. 全損になったらローンは払わなくていい? A. 支払いは残ります。保険金はその返済に充てるお金で、足りない差額は自分で払うことになります。

Q. 保険金はお店に払われる? A. 原則はあなたです。所有権留保の車では、車検証の使用者が車両の所有者とみなされます。契約により扱いが違うことがあるので確認してください。

Q. 自分で廃車手続きはできる? A. できません。廃車は車検証の所有者しか申請できないため、名義がお店のままなら書類を出してもらう必要があります。

Q. 修理を先に始めてもいい? A. 保険会社の返事を待ってください。承認前に直すと保険金が出ない場合があります。

Q. 警察に届けないとどうなる? A. 交通事故証明書が発行されず、保険金の請求ができなくなります。届け出は法律上の義務でもあります。

まとめ(この順で動く)

順番 やること チェック
1 救護と警察への届け出
2 買ったお店に連絡
3 保険会社に事故を伝える(修理は待つ)
4 保険金の額と車の行き先を確認
5 残債との差額を数字で出す
6 手元に残る車は査定と廃車を比べる

今日できる次の一歩

  • 事故の直後 → 警察とお店と保険会社、3か所に連絡する
  • 全損と言われた → 「保険金はいくらで、車は手元に残りますか」と聞く
  • 金額が出た → 残債との差額を計算し、足りなければお店に相談する

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この記事は、現役で輸入車販売店を経営する立場から、現場で見てきた実例をもとにまとめました。当店は自社ローンを扱っていないため、どちらの肩も持たずに書いています。 — 経営者(現役・輸入車販売店オーナー)

最終確認日:2026年8月

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