結論
TEXTAR(テクスター)は、ベンツ・BMW・ポルシェに純正パッドを供給している会社のブランドです。
ただし「純正の箱と中身が完全に同じ」とは言い切れません。品番の適合確認が絶対条件です。
↓ 「純正と同じ」がどこまで本当かは、次の章で供給先の一覧を見ながら整理します。
✓ TEXTARという名前を見かけて、信用していいのか知りたい このページのままでOK
✗ 自分の車種に合うパッドの品番を今すぐ知りたい → 外車のブレーキパッド 純正以外は危険?
✗ ブレーキ警告灯が点いていて原因を知りたい → 外車 ブレーキ警告灯 メーカー別一覧
輸入車のブレーキパッドを探していると、必ずこの名前に当たります。「TEXTAR」。読みは「テクスター」です。
そして必ずこう思います。「聞いたことのないメーカーだけど、ブレーキに使って大丈夫なのか」。
結論から言うと、TEXTARは無名の格安ブランドではありません。ベンツやBMWの純正パッドを実際に作っている会社の、補修部品向けブランドです。ただし「だから純正と同じ」と言い切るのは行き過ぎです。その線引きを、この記事で最後まではっきりさせます。
この記事の目次全8項目
TEXTARの正体 純正パッドを作っている会社のブランド
TEXTARは、ドイツの TMD Friction(ティーエムディー・フリクション)という会社のブランド名です。摩擦材、つまりブレーキが効くときに削れて仕事をする部分を専門に作っている会社です。
この会社の本業は2つあります。ひとつは完成車メーカーへの純正部品の供給。もうひとつが、修理用の部品を「TEXTAR」などの名前で市場に出すことです。
純正供給先の一覧が、公式サイトに実名で載っています。輸入車オーナーに関係のあるところだけ抜き出すと、こうなります。
| グループ | 一覧に載っているブランド |
|---|---|
| BMWグループ | BMW・BMW M・MINI・ロールス・ロイス |
| メルセデス・ベンツグループ | メルセデス・ベンツ・メルセデスAMG |
| フォルクスワーゲングループ | アウディ・アウディスポーツ・ポルシェ・ベントレー・ブガッティ・ランボルギーニ・セアト・シュコダ・VW |
| タタ・モーターズ | ジャガー・ランドローバー |
| ジーリー | ボルボ・ロータス |
| ステランティス | アルファロメオ・フィアット・フェラーリ・プジョー・シトロエン・オペル・ランチア・クライスラー |
| その他 | アストンマーティン・マクラーレン・テスラ・トヨタ(レクサス)・ホンダ・マツダ・日産(ルノー・三菱・インフィニティ) |
出典: TMD Friction 公式サイトの純正供給(Original Equipment)ページに掲載された供給先一覧(2026年7月時点)。同社は乗用車で70社超、商用車で30社超に供給しているとしています。
日本のベンツ部品専門店も、ベンツ純正パッドの製造元として「JURID社・TEXTAR社・PAGID社」の3社を挙げています。このうちTEXTARとPAGIDは、どちらも同じTMD Frictionのブランドです。
【補足】TMD Frictionは2011年に日本の日清紡ホールディングスが買収しましたが、2023年11月にドイツの投資会社AEQUITAへ売却されました。「日本企業の傘下」は過去の話で、今はドイツ資本です。売却時点の売上は約8億ユーロ、従業員は4,200人超と発表されています。
TEXTARというブランド自体は1913年に生まれ、2023年7月に110年を迎えました。業界誌の報道では、ドイツのブレーキブランドとして初めて純正供給された銘柄とされています。
「純正と同じ」はどこまで本当か
ここが一番大事なところなので、はっきり書きます。
「TEXTARの箱に入っているパッドは、ディーラーの純正箱の中身と完全に同一品」とは言い切れません。
理由は単純です。純正箱で出る部品は、自動車メーカーの図面と検査基準に沿って納めたもの。TEXTAR箱で出る部品は、同じ会社が修理市場向けに作って売っているものです。作っている会社は同じでも、摩材のレシピや細部の仕様が車種ごとにどう揃えられているかは、外から検証できません。
だから、この記事の立場はこうです。
| よく見る言い方 | 実際のところ |
|---|---|
| 「純正の中身はTEXTARだから同じ」 | 言い過ぎ。同じ会社の製品だが、同一品の保証はない |
| 「純正じゃないから危険」 | これも違う。純正を作っている会社の製品で、無名品とは全く別の話 |
| 「品番が合っていれば安心」 | ここが正解に近い。適合品番が合っていることが安全の土台 |
もうひとつ、判断の助けになる制度があります。ECE R90です。欧州で売られる補修用のブレーキパッドに義務づけられた規格で、純正品の摩擦特性から±15%を超えてズレてはいけないと決められています。1999年からパッドに、2016年11月からはブレーキディスク(円盤)にも適用が広がりました。
つまり「効きが純正と全然違う社外パッド」は、欧州では正規に売れません。TEXTARは欧州の主要ブランドなので、この枠の中にいます。
ただし、これは欧州の制度です。日本の店頭に並ぶ品がこの認証を持っているかは製品ごとに違います。箱にR90の表示があるかを見てください。
純正との違い 価格・品質・保証
3つに分けて整理します。
価格
日本で実際に売られている価格の例です。
| 製品 | 内容 | 実売価格 |
|---|---|---|
| TEXTAR 2379301 | BMW用・パッド4枚1セット | 15,380円(税込) |
| TEXTAR 2469701 | BMW用・パッド4枚1セット | 17,450円(税込) |
出典: Yahoo!ショッピングのパーツ専門店の実ページ(2026年7月時点・送料込み表示)。車種と前後で価格は大きく変わります。
部品代がこの水準ということは、工賃を足しても「パッドのみ片軸2万〜5万円」という交換費用の相場【業界相場】の範囲に収まります。
正直に言うと、TEXTARは「安いから選ぶブランド」ではありません。格安の無名品ならもっと安く買えます。TEXTARを選ぶ理由は、ディーラーより部品代を抑えつつ、純正を作っている会社の製品という安心感を取れるところです。
品質
公式が出している数字で、性格が読めます。
- 1つの摩材レシピに最大40種類の材料を使う
- 過去30年で開発した摩材の配合は5万種類、評価した材料は797種
- 乗用車のカバー率は公式表記で99.7%(補修市場で最多と主張)
要するに「1種類の万能パッドを全車種に売る」タイプではなく、車種ごとに配合を作り分けるタイプのメーカーです。これは純正供給をしている会社の作り方そのものです。
保証
ここは注意点です。TEXTARには、一般ユーザー向けの年数保証(何年保証)が公式に見当たりません。
同じ立ち位置の他ブランドは、febi bilsteinが3年、MEYLEのHDグレードが4年という保証をうたっています。TEXTARの場合、実質的な保証は買った店の返品・交換条件になります。並行品を安く買うより、条件を書いている店で買うほうが後で困りません。
対応車種と製品ライン
何を作っているか
TEXTARはパッド専門ではなく、ブレーキ回りをまとめて扱っています。
- ブレーキパッド(主軸)
- ブレーキディスク(ローター)
- ブレーキシュー・ドラム
- ABSセンサー
- ブレーキ整備用の消耗品
ただし、ベンツのブレーキローターについては事情が違います。日本のベンツ部品専門店の説明では、ベンツはローターを社内で100%作っているとされています。ローターまで社外に替えるかは、パッドとは別に判断してください。
パッドの製品ライン
日本で見かけるのは主に2種類です。
| ライン | 性格 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 標準(プレミアム) | 車種ごとに配合を作り分けた基本ライン。鳴き止めの「Q+シム」付きの設定もある | 純正の効きに近い感覚で使いたい人 |
| epad+ (セラミック) | ダストを大幅に減らす低ダスト系。最大30%静か・銅とアンチモン不使用・ディスクに優しいと公式が説明 | ホイールの黒汚れを減らしたい人 |
epad+ について、公式は「設定は国によって異なる」と明記しています。日本で自分の車種の設定があるかは、後述のカタログで確認してください。
低ダストパッドを選ぶ理由は、輸入車のホイールが黒くなりやすい「ブレーキダスト(一言でいうと、パッドが削れて出る粉)」を減らせるからです。
買う時の注意 適合確認・偽物・並行品
ブレーキは命に関わる部品です。ここだけは飛ばさないでください。
1. 適合確認は「車種名」ではなく品番で
同じ車種でも、グレード・年式・ブレーキ仕様で品番が分かれます。Mスポーツブレーキ、AMGライン、quattro、JCWなど大径ブレーキの装着車は、標準車と別品番です。
TEXTARは無料の公式Webカタログ「Brakebook」を出しています。車両からの検索と、品番からの検索の両方ができます。
- Brakebook(公式・無料・登録不要):
https://brakebook.com/bb/textar/en/applicationSearch.xhtml - 検索キー: 車両情報・TEXTARの品番・純正品番などから引ける
- スマホアプリ版(iOS/Android・無料)にはバーコード読み取り機能もあります
英語のサイトですが、車両を選んでいくだけなので使えます。先に自分の車の純正品番とローター径を控えておくと確実です。車検証の型式だけでは絞り切れないことがあります。
2. 偽物がある。確認する手段も公式にある
輸入ブレーキパッドには偽造品が存在します。TEXTARはこれに対してPROriginalシールという封印を使っています。
| 確認手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 封印を見る | 箱の開け口に貼られた封印。一度開けると貼り直せない構造。破れている・無いのはおかしい |
| 2. コードを読む | 封印の裏にQRコードと12桁の英数字コードがある |
| 3. 照合する | 公式アプリ「Textar Brakebook」でQRを読むか、https://www.fightingthefakes.com/textar/ にコードを入力 |
| 4. 結果を見る | 「本物」「このコードは既にスキャン済み」「無効なコード」の3通りが返る |
業界誌の報道では、TMD Frictionが実際に見つけた偽造品でパッドの刻印が「TEXTAR」ではなく1文字違いの綴りになっていた例が紹介されています。箱と製品本体の表記が揃っているかは、取り付ける前に見てください。
3. 並行品・出所不明品の落とし穴
TEXTARは輸入車部品の専門店やネットのパーツ店で広く売られています。「純正OEM TEXTAR製」という表記で売っている専門店もあります。
避けたいのは次のパターンです。
- 適合が「BMW用」だけで、品番も年式も書かれていない
- 極端に安く、封印やコードの話が一切書かれていない
- 返品条件が書かれていない
ブレーキで数千円を削るのは、割に合いません。取り付けは必ずプロに任せてください。持ち込み可の工場を使えば、部品は自分で選びつつ工賃を抑えられます。
車検が近い方は、依頼先で費用差が大きいので外車対応の車検費用を比較すると無理なく抑えられます。
つまずいたら、ここ
Q. TEXTARは純正と同じものですか。 同じ会社の製品ですが、同一品とは言い切れません。「ベンツやBMWに純正供給している会社が作った補修部品」が正確な言い方です。適合品番が合っていれば、安全に使えるレベルの製品です。
Q. TEXTARとPAGID、どちらが上ですか。 どちらも同じTMD Frictionのブランドです。上下ではなく、車種ごとの設定と入手しやすさで選ぶことになります。
Q. ディーラーで「社外品は保証できない」と言われました。 ディーラーが自社で取り付けた部品しか保証しないのは普通の対応です。TEXTAR自体に年数保証が無いため、購入店の返品・交換条件を先に確認しておくのが現実的な備えになります。
Q. 低ダストのepad+を選べば、ホイールは汚れなくなりますか。 汚れが減るだけで、ゼロにはなりません。また設定が国ごとに違うため、自分の車種にepad+の品番があるかをカタログで確認してください。
Q. 社外パッドでも車検は通りますか。 通ります。ただし取り付け後しばらく(最初の200km程度)は急ブレーキを避けてください。当たりが付くまでは本来の効きが出ません。
Q. パッドだけ替えれば済みますか。 輸入車はパッドとローターが一緒に減る設計が多く、同時交換を勧められることがあります。過剰請求とは限りません。減り具合を実際に見せてもらって判断してください。
まとめ
- TEXTARはドイツ TMD Friction のブランド。公式の純正供給先一覧にBMW・ベンツ・ポルシェを含む主要グループが並ぶ
- 「純正の中身と完全に同じ」は言い過ぎ。「純正を作っている会社の補修部品」が正確
- 欧州の ECE R90 で、補修パッドは純正の摩擦特性から±15%以内と決まっている。効きが激変する類の製品ではない
- 日本の実売はBMW用フロント4枚で1.5万〜1.8万円の例。安さで選ぶブランドではない
- 年数保証が公式に無いため、保証は買った店の条件次第
- 適合はBrakebook(無料)で品番から確認。偽物はPROriginalシールの12桁コードで照合できる
同じ「輸入車の社外部品ブランドは信用できるのか」という疑問は、febi bilsteinでも同じ形で出ます。ブレーキ以外の部品も含めた考え方は、こちらで整理しました。
→ 関連:febi bilsteinは信頼できる? 純正・OEM・社外品の違い
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ブレーキ整備の前に、ついでに1分だけ。
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この記事は、現役で輸入車販売店を経営する立場から、TEXTARというブランドを「純正と同じなのか」という一点に絞って、公式資料と日本国内の実売価格をもとに整理しました。 — 現役・輸入車販売店オーナー
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