結論
W213 後期(2020年改良後)で覚えておきたいのは9G-TRONIC のシフト不良(コード P073E00 系のプレッシャーセンサー故障)・エアサスのコンプレッサー/エアバッグ漏れ・電動ステアリングの故障。後期型は前期(2016-2019)のソフト系トラブルは改善されているが、機械系の高額修理リスクは残る。修理代の目安は本文§3。
§ 1. W213 後期はどんな車?(30秒で前提)
W213 は 2016年に登場した5代目 Eクラス。2020年に大規模ビッグマイナーチェンジ(後期型/フェイスリフト)。後期型の主な変化は以下。
- フロント/リアデザイン刷新(LEDヘッドライトユニット新形状)
- MBUX 第2世代 インフォテイメント 搭載
- 48V マイルドハイブリッド (主力グレードに展開)
- ステアリングが 静電式タッチコントロール に変更
- 9G-TRONIC トランスミッション継続
エンジン主力は M264 (2.0L 直4ガソリン・E200/E250) と OM654 (2.0L 直4ディーゼル・E220d)。
【現場の知見】 前期(2016-2019)で多発した 電子制御系の初期不良 は後期で大幅改善。一方、エアサス・9G-TRONIC・ステアリング の機械系トラブルは前期/後期問わず一定数発生する。
§ 2. W213 後期で多い5つのトラブル
2-1. 9G-TRONIC のシフト不良(コード P073E00 系)
症状: Dレンジに入らない・バックに入らない・走行中にDからNに戻る。
原因として最も報告例が多いのは 9G-TRONIC内のプレッシャーセンサー(コード P073E00) の故障。E220d 系で多く確認されている(出典: オートプラネット整備記録)。
【危険度】 走行中の症状は重大事故につながる。違和感を感じたら即停車・JAFまたはディーラー手配を。
2-2. 電動ステアリングの故障(走行不能リスク)
症状: ハンドルが急に重くなる・ステアリング警告灯点灯・最悪走行不能。
W213 全期で報告されている重大故障。「走行不能になる前にステアリングに異変を感じたら、すぐに停車してください」 とメルセデス系専門店からも警告が出ている(出典: ベンツ修理専門店 MBworks 整備ブログ)。
【修理代】 新品ユニットで約50万円、リビルト品で約30-35万円が目安。
2-3. エアサスペンションのトラブル
エアサス搭載グレード(主にE400/AMG系)で多発。
- エアサスバッグの劣化・エア漏れ(車高が片側だけ下がる)
- コンプレッサーの異音・故障(エア充填不能)
- 車高制御ユニット(LWR)の故障
【修理代の目安】: エアバッグ交換 20-30万円/本 ・コンプレッサー交換 15-25万円
2-4. インテリジェントドライブ/カメラ系のエラー
後期型でも ステレオマルチパーパスカメラ・ブラインドスポットアシスト のエラー報告がある。
降雪/降雨時にカメラがブラインドされて警告が出るのは正常動作だが、晴天時にもエラーが頻発するならカメラユニット交換 が必要なケースがある。
2-5. オルタネーター/48V系の異常
48V マイルドハイブリッド搭載車では、ISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター) に絡む発電系トラブルが報告される。バッテリー上がり・始動不良が前兆。
§ 3. 修理代の目安(3層構造・業界公表値ベース)
| トラブル箇所 | ディーラー目安 | 専門整備工場目安 | 中古/リビルト目安 |
|---|---|---|---|
| 9G-TRONIC AT オイル交換 | 5-10万円 | 4-8万円 | (DIY困難) |
| 9G-TRONIC 内部修理(プレッシャーセンサー) | 30-50万円 | 22-35万円 | 18-28万円 |
| 電動ステアリングユニット交換 | 50万円 | 35-45万円 | 30万円前後(リビルト) |
| エアサスバッグ 1本 | 25-30万円 | 18-25万円 | 12-18万円 |
| エアサスコンプレッサー | 20-25万円 | 15-22万円 | 10-15万円 |
| 9G-TRONIC 全交換(重故障) | 50-100万円超 | 40-80万円 | (扱い少) |
| OM654 DPF/尿素系修理 | 30-50万円 | 22-35万円 | 15-22万円 |
【業界公表値】(出典: マーキーズ W213 修理費用一覧 + baize.jp W213 解説 + オートプラネット整備記録)
【わっくさん現場確認待ち】(現役販売員のリアル数値は本記事公開後に追記予定)
§ 4. DIY でできること・できないこと
W213 後期は どのトラブルも基本 DIY 不可。
- 9G-TRONIC・ステアリング・エアサス: 専用診断機(STAR/Xentry)が必須
- MBUX・カメラキャリブレーション: ディーラー専用設備が必要
- DPF 強制再生: 診断機操作が必要
→ オーナー側でできるのは「予兆を早く拾うこと」と「予防整備」。
4-1. 予防整備で効くこと
- 9G-TRONIC AT オイル交換: 6-8万kmで実施(ディーラー推奨は無交換だが、専門店は4-6万km毎を推奨する傾向)
- エアサス搭載車は車高変動を毎日チェック(駐車中に片側下がりがないか)
- ステアリングフィーリングの違和感を放置しない(早期発見で部分修理可能なケースも)
§ 5. 整備工場の選び方(現場目線)
W213 後期は メルセデス専用診断機 (STAR/Xentry) が必須。
工場選びのポイント:
- STAR/Xentry 所有を HP に明記しているか
- W213(現行5代目)整備実績があるか
- 9G-TRONIC AT オーバーホールの実績があるか(高難度なため対応店は限られる)
- エアサスのリビルト在庫を持っているか(リビルト対応で大幅節約可能)
§ 6. 中古車購入時のチェックポイント
中古車屋目線で W213 後期を購入するなら絶対確認したい4項目。
- 9G-TRONIC のシフトフィーリング(走行テストでD/R/N の入りを確認)
- エアサス車高の左右差(目視・水平器でチェック)
- ステアリングフィーリング(センター付近の重さ・違和感)
- OBD2 で過去の警告履歴(消去前の履歴を抜き取り)
【業界公表値】 整備記録の有無は査定額には大きく反映されないが、「次のトラブル予測の材料」としては最重要。記録がない車両はその分の修理リスクを織り込んで購入判断を。
§ 7. まとめ
W213 後期(2020年改良後)を所有/購入するときの要点:
- 9G-TRONIC のシフト不良(P073E00系) ・走行不能リスクなので違和感は即停車
- エアサスは予防整備で延命可能 ・車高変動を日常チェック
- 電動ステアリングは突然故障する ・違和感を放置しない
- 後期型はソフト系トラブルは改善されている が、機械系の高額修理リスクは残る
ディーラー保証期間中にできるだけ症状を出し切って、無償対応を引き出すのが現場目線の鉄則。
