この記事の目次15項目

結論: W205はリコール3件の確認が先。うち1件は火災12件

① W205(2014年7月〜2021年)で最初にやること

車台番号でリコールの実施状況を調べる。C200系には実際に火災が12件起きたオルタネーターのリコールがあり、エアサスと電動パワーステアリングにも別のリコールが出ています。どれも対象なら費用は0円です。

② 実費で多いのはこの3つ

  1. エンジンのオイル漏れ … 漏れた油が配線を伝ってコンピューターを壊す。5.7万〜20万円
  2. 電動ウォーターポンプの固着 … オーバーヒートに直行。実例11.6万円
  3. 冷間時のガソリン臭 … 燃料ホースの劣化。2万〜3万円で直る

③ これだけは危険

水温の警告、走行中の車高低下、ガソリン臭。この3つは走り続けないでください。

3秒早見表: 故障しやすい箇所と修理代

故障箇所 修理代の目安 対象 緊急度
オルタネーター(発電機) リコール対象なら無償 / 対象外は専門工場11万円・ディーラー20万円〜 C200系 🔴
エアサスのコンプレッサー リコール対象なら無償 / 実費は実例で約18万円 C200以上 🔴
電動パワーステアリング リコール対象なら無償 対象年式 🔴
電動ウォーターポンプ(オーバーヒート) 実例で116,644円 全車 🔴
オイル漏れ→エンジンコンピューター侵入 実例57,310円 / ディーラー10万〜20万円 ガソリン(M274) 🟡
冷間始動時のガソリン臭 2万〜3万円(部品は約1.2万円) 全車 🟡
DPFの詰まり(ディーゼル) 洗浄の実例で206,980円 C220d 🟡
足回りのギシギシ音(ロアアーム) 数万円〜 全車 🟢
バックアップバッテリー 34,650円 全車 🟢

緊急度の目安: 🔴=走り続けずすぐ点検 / 🟡=放置すると被害が広がる。早めに点検 / 🟢=走行は可能。都合のよいときに修理へ

★金額は整備工場の作業記録・公表値に基づく目安です。頼み先や部品の選び方で変わるため、必ず実車で見積もりを取ってください。

※走行中に水温の警告が出たら、走り続けずに安全な場所へ停めてください。

まず年式とエンジンの確認: 2018年7月が前期と後期の境目

W205は4代目のCクラスです。日本ではセダンが2014年7月11日、ステーションワゴンが2014年10月1日に発売されました。2018年7月25日のマイナーチェンジで後期型になります。約6,500点の部品を変えた大がかりな改良でした。

外から見分けるなら、後期はグリルがダイヤモンド柄になり、セダンのテールランプが「C」の字をかたどった形に変わっています。

ただしW205で本当に大事なのは、外観よりエンジンです。載っているエンジンで、出る故障がまるで違います。

エンジン 主なグレード 気をつける場所
M274(ガソリン1.6L/2.0L) 前期のC180・C200・C250 オイル漏れ→コンピューター侵入・電動ウォーターポンプ
M264(ガソリン1.5L+48V) 2017年11月以降のC200 48Vまわりのリコール
OM651(ディーゼル2.1L) 前期のC220d DPFの差圧センサー
OM654(ディーゼル2.0L) 2017年4月以降のC220d クーラントポンプ(リコールあり)
M276(V6) / M177(V8) AMG C43 / C63 点火コイルのリコール

変速機は7速(7G-TRONIC)から始まり、2015年9月にC220dで9速が初採用、2017年2月にC180とC200へ広がりました。後期はほぼ全車が9速です。

→ 次にすること: 車検証の型式(例: DBA-205040C)と初度登録年月を控える。この2つで自分の車の弱点が決まります。

リコール3件は「無償で直る」。とくにオルタネーターは火災12件

W205は届出件数の多い車です。中でも実害が大きい3件を挙げます。

1. オルタネーター(発電機)のダイオード ー 火災12件

リコール届出番号 外-3269(2021年8月20日届出)。届出書の原文を引用します。

4気筒ガソリンエンジンに搭載されているオルタネータにおいて、アイドル時の発電制御が不適切なため、整流器のダイオードが熱を受けて破損し、警告灯の点灯や充電不良を起こし、エンジンがストールすることがある。また、特定の組み合わせのダイオードが複数破損して短絡すると、オルタネータに大電流が流れて発熱し周囲を溶損させることで、最悪の場合、火災に至るおそれがある

数字がはっきりしています。不具合件数60件、事故の有無は「火災12件」。発見の動機も「市場からの報告による」で、実際に起きてから届け出られたリコールです。

  • 対象台数: 計18,490台(計7型式・計3車種)
  • 輸入期間: 平成26年2月14日〜平成30年4月2日
  • 対象: C200・C200 4MATIC・C200ステーションワゴン(型式 RBA-205042 / RBA-205042C / DBA-205043C / RBA-205242 / RBA-205242C など)
  • 改善措置: オルタネーターを点検し、ダイオードが壊れていれば対策品に交換。壊れていなければエンジンコンピューターのプログラムを書き換える

2. エアサスペンションのコンプレッサー

リコール届出番号 外-3531(2022年12月13日届出)。原文はこうです。エアサスペンションのエアコンプレッサにおいて減圧バルブの材質が不適切なため錆が発生して作動不良を起こすことがあり、警告灯点灯と共に車高調整ができず、最悪の場合、走行中に車高が低下するおそれがある

  • 対象台数: 計21,626台/不具合件数92件/事故なし
  • 改善措置: 全車両、エアコンプレッサを対策品に交換する
  • 対象はC200以上C180はコイルスプリングでエアサスが付いていないため、対象外です

3. 電動パワーステアリング

リコール届出番号 外-2951(2019年11月21日届出)。ステアリングラックのロックナットに内部亀裂が生じているものがあり、最悪の場合操舵不能になるおそれ。改善措置は「全車両、電動パワーステアリングを良品と交換する」です。

Cクラスの対象は幅広く、C180が827台(セダン)・289台(ワゴン)、C200が583台、C220dが514台などとなっています。対策済みの車には、運転席ドアを開けたところのドアロックストライカー付近に「外No.2951」のステッカーが貼られます。

→ 次にすること: 車検証の車台番号を用意して、メルセデス・ベンツ日本または正規ディーラーで実施状況をまとめて確認する。中古で買った車でも、前のオーナーが未実施なら無償です。

M274のオイル漏れは、コンピューターを道連れにする

ここからは実費の話です。前期のガソリン(M274)でいちばん厄介なのがこれです。

構図はこうです。カムアジャスター、カムシャフトセンサー、ベンチレーションバルブといった部品からオイルがにじむ。そのオイルが配線を伝ってエンジンコンピューターの中まで入り込み、コンピューターごと壊す。オイル漏れの修理だけで済まなくなるのが怖いところです。

三重の整備工場は、この症状についてW204から続く持病だが、W204にあった純正の対策ハーネスがW205には用意されていないと指摘しています。つまり「純正の対策品を付けて終わり」にできません。

金額の幅が大きい箇所でもあります。

直し方 金額
専門工場: 原因のバルブ交換+オイル侵入を防ぐ加工をした専用ハーネス+コンピューターのデータ保全 実例で税込57,310円
ディーラー: カムマグネット交換 10万〜20万円
最悪の連鎖: メインハーネス+O2センサー+コンピューター交換 さらに上

走行32,000kmという早い段階で発生した実例もあります。距離を走っていないから安心、とは言えません。

ベンツ全体のオイル漏れの相場と直し方はベンツ オイル漏れ 定番3箇所・専門店3万円〜にまとめています。

→ 次にすること: エンジンをかけて警告灯が点く・点滅するようなら、オイル漏れの有無をコンピューターまわりで見てもらう。早いほど安く済みます。

電動ウォーターポンプの固着はオーバーヒートに直行する

W205で水温の警告が出たときの本命がこれです。ポンプの中の羽根(インペラ)が固まって、冷却水が回らなくなります。

  • 山口の整備工場の実例: C180がオーバーヒート。電動ウォーターポンプが動かず新品の対策部品に交換。部品代96,624円+工賃20,020円=合計116,644円(税込)
  • 福島の工場の実例: 平成27年式のC180ワゴンが走行中に水温上昇。分解するとインペラが完全に固着していた
  • 千葉の工場の実例: 平成27年式のC200で、電子サーモスタットを内蔵したクーラントパイプが破裂

診断機からポンプを強制的に回そうとしても反応しない、というのが共通の所見です。

警告灯の色による判断はMercedes 冷却水温度警告灯 M274/M276 即停車へ。

→ 次にすること: 水温計が普段より上がる、警告が出る。この時点で走行をやめてください。オーバーヒートさせるとエンジン本体に被害が及びます。

エアサスはC200以上だけ。実費なら約18万円

前の章のとおりリコールがありますが、対象外だったり、リコールとは別の部品が傷んでいることもあります。

分かりやすい初期症状は「一晩置くとリアの車高が下がっている」です。エンジンをかけると戻るので見過ごされがちですが、ここが入口です。

オーナーが公開している実額はこうでした。コンプレッサー(リビルト品)9万円、バルブブロック5.5万円、工賃2万円で合計およそ18万円(税込)。ゴムの部分(ベローズ)は1本あたり約7万円で、このときは交換していません。

頼み先による差もはっきりしています。ベローズ1本がディーラー20万〜25万円に対し専門工場10万〜14万円、コンプレッサーが20万〜30万円に対し10万〜15万円という比較が公開されています。

車種を問わない相場と直すか売るかの判断は外車のエアサス修理費はいくら?へ。

冷間始動のガソリン臭は、2万〜3万円で直る

これは知っておくと得をする話です。

エンジンをかけた直後だけ、室内やボンネットの中がガソリン臭い。しばらくすると止まる。原因は燃料の高圧ポンプにつながる低圧側のホースの劣化です。走行5万〜7万kmを超えたあたりから出やすく、冬場に目立ちます。

金額は小さいです。オーナーが公開した部品明細は、低圧燃料ホース2本とクランプ2個で部品代の合計12,012円。正規ディーラーの見積もりでも20,000〜30,000円でした。民間の整備工場なら工賃の設定が低いぶん、さらに1万円ほど下がります。

この症状はリコールになっていません。気づいた人が申告して直す箇所です。ガソリンの匂いを「そういうもの」と放置しないでください。

→ 次にすること: 朝いちばんのエンジン始動で匂いを確認する。臭うなら早めに点検へ。金額は小さく、放置のリスクは大きい箇所です。

C220d(ディーゼル)は、年式でリコールも故障も変わる

ディーゼルは前期と後期でエンジンそのものが違います。

  • 前期(OM651・2.1L): DPFの差圧センサーにリコール(外-2689)が出ています。対象はC220dセダンとワゴンで計2,012台
  • 後期(OM654・2.0L): クーラントポンプにリコール(外-3347・外-3469)が出ています。冷却水が負圧の回路に入り込み、最悪の場合火災に至るおそれという内容です

実費の例も出ています。走行80,000kmのC220dで、DPFの洗浄と脱着・エンジン内部洗浄をあわせて206,980円(税込)、作業3〜5日という記録があります。EGRバルブがすすで固まり、「走行中に突然1速になる」「加速しない」という症状が出た例もあります。

短距離ばかりの使い方は詰まりの原因になります。詳しくは外車ディーゼルのDPF詰まり 警告灯と煤の対処、尿素水の補充は外車ディーゼル アドブルー補充 Mercedes・VW・BMWへ。

→ 次にすること: ディーゼルなら、月に1度は40分以上まとめて走る時間をつくる。警告が出たら診断機で実際の詰まり具合を測ってもらう。

同じ故障でも、頼み先で修理代は大きく変わる

W205は登録から4年から11年が過ぎた個体です。保証が切れている車が大半で、ここから先は工場選びが金額を決めます。

実際に公開されている差はこれくらいあります。

作業 ディーラー 専門工場・優良部品
オルタネーター交換 工賃込み20万円以上 約11万円
ブレーキパッド+ローター(前後) 15万〜18万円 約10万円
バッテリー(メイン+サブ) 約10万円 約6万円
ナビ(COMAND)ユニット 70万〜88万円 398,000円〜

工場選びで見るのは3つです。メルセデス専用の診断機を持っているか、W205の整備実績があるか、そしてリビルト品や優良部品を使う選択肢を持っているか。3つめが金額を決めます。

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DIYでは直せない。できるのは症状を早く拾うこと

ここまでの故障は、どれもメルセデス専用の診断機と設備が要ります。DIYでは直せません。できるのは症状を早く見つけて、修理を小さく済ませることです。

W205はとくに、警告灯が出る前の段階で気づけるサインが多い車です。一晩置いたときの車高、朝いちばんのガソリン臭、駐車跡の染み。この3つは道具なしで毎日見られます。

そのうえで、原因コードを読めるOBD2診断機(運転席足元のコネクタに差す機器)があると、中古車を見に行くときに消される前の警告灯の履歴を確認できます。

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バッテリーも押さえておきたい箇所です。W205はメインとバックアップの2つを積んでいて、バックアップ側は新車から5年ほどで症状が出ることが多く、交換は34,650円という公表値があります。メイン側はAGMという種類で、交換後に登録作業が必要です。手順はベンツ バッテリー上がり対処 W205/W213 交換4-9万円とAGM登録、警告灯の意味はMercedes バッテリー警告灯 AGM/IBS/SCN W205/W213へ。

よくある質問

Q. C180とC200、維持費が読みやすいのはどちらですか? A. C180です。エアサスが付いておらず、エアサスのリコールも修理費もそもそも縁がありません。一方でC200系はオルタネーターの火災リコールの対象になっている年式があるので、購入前の確認は必須です。

Q. リコールの対象かどうか、自分で調べられますか? A. 調べられます。車検証の車台番号を用意して、メルセデス・ベンツ日本のリコール検索か正規ディーラーに問い合わせてください。中古で買った車でも無償です。W205は届出が多い車なので、まとめて確認するのが効率的です。

Q. W205とW206、どちらを買うべきですか? A. 弱点が出そろっているのはW205です。リコールが済んでいる個体なら、未知のトラブルに悩む場面は多くありません。W206は電装とソフトウェアが中心で傾向が別物です。W206の故障はMercedes Cクラス W206 故障しやすい箇所と修理代へ。

Q. 前期と後期、故障の面ではどちらが安心ですか? A. 一長一短です。後期は年式が新しく経年劣化がこれからですが、48Vのシステムに固有のリコールがあります。前期はM274のオイル漏れが主役です。装備差より、リコールの実施記録と整備記録の有無で選ぶほうが失敗しません。

Q. 中古のW205を買うとき、何を見ればいいですか? A. 4つです。リコール外No.2951のステッカー、一晩置いた後の車高(C200以上)、朝いちばんのガソリン臭、そして整備記録簿。買う前の共通の注意点は現役販売店が正直に言う 買ってはいけない中古外車と警告灯へ。

まとめ: 見積もりより先に、車台番号

W205でいちばん損をしやすいのは、無償で直る修理に実費を払ってしまうことです。しかもオルタネーターのリコールは、火災が12件実際に起きている案件です。順番を守るだけで、お金と安全の両方が守れます。

今日できる次の一歩

  • 症状が出ている → 走り続けずに停めて、まずリコールの実施状況を確認する
  • 見積額が大きい → 無料査定で車の価値と並べて、直すか売るかを数字で決める
  • まだ症状なし → 車台番号でリコールを一括確認し、朝のガソリン臭と一晩後の車高だけ見ておく

修理代と並んで見直し余地が大きいのが自動車保険です。輸入車は保険料が高くなりがちで、同じ条件でも会社によって年数万円の差が出ます。Cクラス・Eクラスの実額と下げ方はベンツ 自動車保険 Cクラス/Eクラス 年14-26万 5社比較、外車全体の相場は外車の自動車保険は高い?現役販売店が実額で答えるへ。

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