この記事の目次14項目

結論: W213前期の急所は電動パワステ。リコール対象なら無償

① W213前期(2016年7月〜2020年9月)で押さえる3つ

  1. 電動パワーステアリング … 国土交通省のリコール対象。該当すれば交換は無償
  2. エアサス(E400・AMG系) … 車高が落ちる・上がらない。1本20万〜30万円
  3. 9G-TRONIC(9速AT)の「Dに入らない」 … 犯人は変速機の圧力センサー

② これだけは危険

ハンドルが急に重い・振動する、走行中に変速が抜ける。この2つは走り続けず停めてください。

③ まずやること

車検証の車台番号で、リコールの対象かどうかを先に調べる。対象なら費用は0円です。順番を逆にすると、無償で直る修理に何十万円も払うことになります。

3秒早見表: 故障しやすい箇所と修理代

故障箇所 修理代の目安 緊急度
電動パワーステアリング リコール対象なら無償 / 対象外は新品50万円・中古部品33万円前後 🔴
9G-TRONICの変速不良(圧力センサー) ATF+オイルパン一式8万〜12万円 / 内部修理は数十万円 🔴
エアサスの空気漏れ・車高落ち 1本 ディーラー20万〜30万円 / 専門工場10万〜14万円 🟡
E220dの排ガス浄化系(AdBlue・NOxセンサー) NOxセンサー1個10万円前後 / 一式なら100万円前後の見積もりも 🟡
COMAND(ナビ)のフリーズ・起動が遅い ユニット交換30万〜70万円 🟢
テスター診断(原因の特定) 8,800円〜

緊急度の目安: 🔴=走り続けずすぐ点検 / 🟡=放置すると被害が広がる。早めに点検 / 🟢=走行は可能。都合のよいときに修理へ

★金額は整備工場の公表値・作業記録に基づく目安です。頼み先(ディーラー/専門工場/中古・リビルト品=再生部品)で大きく変わるため、必ず実車で見積もりを取ってください。

※走行中に警告灯が点いた場合は、箇所を問わず走り続けないでください。

まず年式の確認: 2020年9月までが前期。2019年3月で中身が変わる

W213は5代目Eクラスです。日本ではセダンが2016年7月、ステーションワゴンが2016年11月に発売され、2020年9月のマイナーチェンジから後期型になりました。つまり2016年7月〜2020年9月に登録された個体が前期です。

前期のなかでも、2019年3月に中身が大きく変わっています。

時期 E200の中身 6気筒の中身
2016年7月〜2019年2月 2.0Lの4気筒 E400・E450はV6(M276)
2019年3月〜2020年9月 1.5Lの4気筒(M264)+48Vのモーターアシスト 同上

同じ「前期のE200」でも、2019年3月を境にエンジンの大きさもハイブリッドの有無も別物です。中古で見るときは、グレード名ではなく初度登録年月で判断してください。

なお直列6気筒(M256)は後期からで、前期には載っていません。「W213の直6」を探している方は後期を見ることになります。後期の故障傾向はW213 後期 Eクラスの故障と修理費4-50万円にまとめています。

→ 次にすること: 車検証の初度登録年月を見て、自分の車が前期のどちら側かを確定させる。

電動パワーステアリングは国交省のリコール対象。まず車台番号で調べる

前期でいちばん先に確認してほしいのがここです。

2019年11月21日、メルセデス・ベンツ日本から国土交通省へリコールが届け出られました(リコール届出番号 外-2951)。届出書の原文はこうです。ステアリングラックのロックナットの製造機器管理が不適切なため内部に亀裂が生じているものがあり、最悪の場合、操舵不能になるおそれがある。改善措置は「全車両、電動パワーステアリングを良品と交換する」です。

Eクラスの対象は837台。内訳は次のとおりです。

通称名 型式 台数 輸入期間
E200 RBA-213042C 156 平成30年2月27日〜平成30年6月18日
E200ステーションワゴン RBA-213242C 63 平成29年1月12日〜平成30年5月23日
E200クーペ RBA-238342C 83 平成30年2月24日〜平成30年6月24日
E200カブリオレ RBA-238442C 47 平成30年3月13日〜平成30年6月24日
E220d LDA-213004C 144 平成30年2月26日〜平成30年8月2日
E220dステーションワゴン LDA-213204C 168 平成30年2月26日〜平成30年8月29日
E250 RBA-213045C 105 平成29年5月15日〜平成30年5月7日
E250ステーションワゴン RBA-213245C 30 平成30年2月27日〜平成30年5月7日
E300クーペ DBA-238348C 25 平成30年3月13日〜平成30年6月24日
E350e DLA-213050C 16 平成30年4月23日〜平成30年5月7日

(出典: 国土交通省 リコール届出一覧表 外-2951)

対策済みの車には、運転席側ドアを開けたところのドアロックストライカー付近に「外No.2951」のステッカーが貼られます。中古で買うとき、その場で目視できる数少ないチェックポイントです。

リコールの対象外だった場合の実費は重くなります。ベンツ専門店の解説では、新品部品での交換で約50万円、中古部品を使って新品の約3分の2、つまり33万円前後という金額感です。症状は「ハンドルが突然ブルブル震える」で、日ごろの整備では防げません。

→ 次にすること: 車検証の車台番号を控えて、メルセデス・ベンツ日本または正規ディーラーでリコールの実施状況を確認する。対象なら費用は0円です。

エアサスは1本20万〜30万円。ただし頼み先で半額近くまで変わる

エアサス(空気で車高を支えるサスペンション)は、E400やAMG系など上級グレードに載っています。全グレードに付いているわけではないので、まず自分の車が該当するか確認してください。

東京・町田の輸入車専門整備工場には、W213 E400で4輪すべての車高が落ちて上がらなくなった実例が記録されています。エンジンをかけると「車高が上がります」と表示されたあと、数秒で赤い警告灯に変わって停車を促される状態です。診断機からコンプレッサーを強制的に動かしても無反応で、交換したのはコンプレッサー・バルブブロック・リレー・ヒューズの4点でした。

費用は頼み先で大きく動きます。横浜のエアサス修理専門の認証工場は、ディーラーでの1本交換が約30万円のところ、工賃込み23万円の見積もりを11万円で仕上げた例を公開しています。一方でネット通販の激安部品(1本5万円ほど)には品質の当たり外れがあると、同じ工場が注意を促しています。

車種を問わない相場と直すか売るかの判断は外車のエアサス修理費はいくら?にまとめました。

→ 次にすること: 駐車中に車高が片側だけ下がっていないかを毎日見る。早く気づくほど、部分修理で収まります。

9G-TRONICの「Dに入らない」は圧力センサー。ATFだけ替えても直らない

前期・後期を通じて9速AT(9G-TRONIC)を積んでいます。定番の症状はこれです。

  • シフトをDに入れてもNに戻ってしまう
  • 3速に固定されたまま変速しない
  • 温まってくると症状が出る

熊本の整備工場の記録では、故障コードはP073E00とP060C00。原因は変速機の制御ユニットに付いている圧力センサーの不良で、センサーとオイルパンを交換し、油量調整と学習のやり直しで復旧しています。埼玉の整備工場も、走行74,000kmのE220dで同じ圧力センサーの劣化を挙げ、ATFを替えても直らないと明記しています。

つまり「変速がおかしい→とりあえずATF交換」は、この症状では遠回りになります。先に診断機でコードを読むのが最短です。

予防としてのATF交換は有効です。山梨の整備工場は、オイルパンごと新品にして学習をやり直す作業一式で8万〜12万円前後、5万kmを超えて無交換なら検討時期としています。メルセデス全体のミッション修理の相場はベンツ ミッション修理費 ATF4.5万〜基板修理までへ。

→ 次にすること: 変速の違和感が出たら、ATF交換を頼む前にテスター診断(8,800円〜)でコードを読む。

E220d(ディーゼル)は排ガス浄化系がいちばん高くつく

W213前期のディーゼルはE220dです。弱点は排ガスをきれいにする装置まわりに集中します。

埼玉の整備工場には、平成29年12月登録・走行83,660kmのE220dで、尿素水(AdBlue)を補充しても警告が消えず、「あと◯kmでエンジンが始動できません」というカウントダウンが進んだ実例があります。読み取れたコードはAdBlueの漏れ検知・消費量過多・NOxセンサーの機能障害など複数で、部品交換での見積もりはトータル100万円前後でした。NOxセンサーは1個あたり10万円前後、浄化装置本体やAdBlue側の不具合になると30万〜50万円という金額感です。

名古屋の整備工場には、走行5万km超のE250でエンジン警告灯が点き、犯人がサーモスタットだった例もあります。警告灯=排ガス系とは限らないので、コードを読まずに高額部品から疑わないことが大事です。

尿素水の補充そのものは自分でできます。やり方は外車ディーゼル アドブルー補充 Mercedes・VW・BMW、すすが詰まる側の話は外車ディーゼルのDPF詰まり 警告灯と煤の対処へ。

→ 次にすること: 短距離ばかりの使い方なら、月に1度は40分以上まとめて走る時間をつくる。

COMAND(ナビ)のフリーズは、前期のNTG5.5世代の話

前期のインフォテインメントはNTG5.5、後期はMBUX(NTG6.0)です。前期で報告が多いのは、起動が遅い・曲送りが引っかかる・地図が固まる・画面が真っ暗になるといった症状で、原因はハードディスクの寿命とされています。

ディーラーでユニットごと交換すると30万〜70万円という金額が挙がっています(出典: SSD換装サービスを手がける施工業者の解説)。走行には支障しないので、慌てて決める必要はありません。まずは症状の頻度を記録して、保証の対象になるかを確認してください。外車の延長保証の損得は外車の延長保証は必要か 故障リスクと損得にまとめています。

同じ故障でも、頼み先で修理代は大きく変わる

前期のW213は、登録から5年から9年が過ぎた個体です。ディーラー保証が切れている車が多く、ここから先は頼み先の選び方がそのまま金額差になります。

工場選びで見るのは3つです。

  1. メルセデス専用の診断機を持っているか(ホームページに明記されていることが多い)
  2. W213の整備実績があるか
  3. 中古・リビルト部品(再生部品)の調達に対応できるか

3つめが効きます。電動パワーステアリングは中古部品で新品の約3分の2、エアサスは工賃込み23万円が11万円になった例があります。同じ作業でも、部品の入手ルートを持っている工場かどうかで結果が変わります。

車検の時期が近いなら、車検と修理をまとめて頼める工場を先に探しておくと、二度手間と費用を同時に減らせます。ベンツの車検費用の内訳はMercedes 車検費用の相場・時期・やり方へ。

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DIYでは直せない。できるのは症状を早く拾うこと

ここまでの故障は、どれもメルセデス専用の診断機と設備が要ります。DIYでは直せません。オーナー側でできるのは、症状を早く見つけて修理を小さく済ませることです。

手元にあると効くのが、警告灯の原因コードを読めるOBD2診断機(運転席足元のコネクタに差す機器)です。読めるのは手がかりまでで、本格的な診断はプロに任せてください。中古車を見に行くときに持っていくと、消される前の警告灯の履歴をその場で確認できます。

診断機は「まず安く試す」か「確実に広く見る」かの2タイプです。

タイプ 向いている人 できること
まず安く試す: ELM327(汎用Bluetooth) まず警告灯の正体だけ知りたい人 エンジン系の故障コード(Pコード)の読み取り。初動の切り分けに
確実に広く見る: iCarSoft CR Pro+(40+ブランド対応) 輸入車を長く乗る・自分で切り分けたい人 全システム診断+各種リセットまで。メルセデスほか欧州車を1台でカバー

ELM327は安い分、エアバッグ(B系)・ABS(C系)やメルセデス独自の項目は読めないことが多い点は割り切りを。機種選びの全体像は外車OBD2診断機の選び方へ。

日常の予防でいちばん効くのはバッテリーです。W213は電装が多く、電圧が落ちると関係のない警告灯まで出ます。症状と交換費用はベンツ バッテリー上がり対処 W205/W213 交換4-9万円とAGM登録、警告灯の意味はMercedes バッテリー警告灯 AGM/IBS/SCN W205/W213へ。

よくある質問

Q. 前期と後期、壊れやすさはどう違いますか? A. 電動パワーステアリングのリコールは前期の一部が対象で、後期は含まれていません。一方でエアサス・9速AT・電動ステアリングの故障そのものは、前期・後期のどちらでも報告があります。後期のほうが年式が新しいぶん経年劣化はこれからです。

Q. リコールの対象かどうか、自分で調べられますか? A. 調べられます。車検証の車台番号を用意して、メルセデス・ベンツ日本のリコール検索か正規ディーラーに問い合わせてください。中古で買った車でも、前のオーナーが未実施なら無償で受けられます。

Q. E200とE220d、維持費が読みやすいのはどちらですか? A. 出費の山が読みやすいのはガソリンのE200です。E220dは燃料代で有利ですが、排ガス浄化系がまとめて来ると100万円前後の見積もりになる例があります。短距離中心の使い方なら、なおさらガソリンが気楽です。

Q. 2019年3月以降のE200(1.5L+48V)は非力ではありませんか? A. モーターが発進から低速をアシストする仕組みで、街乗りで力不足を感じる設計ではありません。ただし12Vのバッテリーが弱ると48V側まで調子を崩すため、バッテリー管理は2.0L時代より重要になります。

Q. 中古のW213前期を買うとき、何を見ればいいですか? A. 4つです。リコール外No.2951のステッカーの有無、試乗でのDとRの入り、駐車時の車高の左右差、そして整備記録簿。記録簿がない個体は、この先の修理リスクを見込んで値段を判断してください。買う前の共通の注意点は現役販売店が正直に言う 買ってはいけない中古外車と警告灯へ。

まとめ: リコールの確認を、見積もりより先に

W213前期でいちばん損をしやすいのは、無償で直る修理に実費を払ってしまうことです。順番を守るだけで、この事故は防げます。

今日できる次の一歩

  • ハンドルの違和感・変速の違和感がある → 走り続けず停めて、まずリコールの実施状況を確認する
  • 見積額が大きい → 無料査定で車の価値と並べて、直すか売るかを数字で決める
  • まだ症状なし → 車台番号でリコールを確認し、5万km超で無交換ならATFの予防交換を検討する

修理代と並んで見直し余地が大きいのが自動車保険です。輸入車は保険料が高くなりがちで、同じ条件でも会社によって年数万円の差が出ます。Cクラス・Eクラスの実額と下げ方はベンツ 自動車保険 Cクラス/Eクラス 年14-26万 5社比較、外車全体の相場は外車の自動車保険は高い?現役販売店が実額で答えるへ。

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