この記事の目次16項目

結論: W212は年式でリコールが違う。まず車台番号で照会

① W212(2009年〜2016年)で先に押さえる3つ

  1. リコールが2件。運転席のエアバッグ(タカタ製)火災のおそれで、当たる年式が違います。どちらも費用0円
  2. 金額が大きいのはエアコン・エアサス・7速AT。20万〜40万円の帯です
  3. においで気づける故障が1つあります。ガソリン臭は放置しないでください

② これだけは危険

エンジンルームからガソリンのにおいがする。高圧ポンプまわりのホースからの漏れで、実作業として複数の工場が公開しています。火が出る前提の部位です。

③ まずやること

車検証の車台番号を控えて、リコールの実施状況を先に照会する。対象なら無償です。順番を逆にすると、0円で直る作業に実費を払うことになります。

この記事は4代目のW212(2009年〜2016年)が対象です。5代目W213の故障はW213 前期 Eクラスの故障と修理費8-100万円W213 後期 Eクラスの故障と修理費4-50万円に分けてまとめています。世代で壊れる場所がほとんど重なりません。

3秒早見表: 故障しやすい箇所と修理費

故障箇所 修理費の目安 緊急度
高圧ポンプまわりのガソリン漏れ ホース・ポンプ交換(実作業事例あり) 🔴
リコール2件(エアバッグ・火災のおそれ) 対象なら無償 🔴
7速ATの変速不良(制御基板) ディーラー約30万円 / 専門店 新品基板216,000円・現品修理55,000〜66,000円 🔴
エアコンが冷えない(コンプレッサー) ディーラー20万〜30万円 / 専門店11万円 / 関連部品込みで30万〜40万円 🟡
ワゴンのリヤが下がる(エアサス) 1本20万円ほど / 工賃込み23万円が11万円の例 🟡
オルタネーター(発電機) ディーラー20万円以上 / 専門店10万〜11万円 🟡
ラジエター・クーラントパイプの水漏れ 20万円コース 🟡
オイル漏れ(フィルターハウジングのパッキン) 57,805円(実額・部品16,885+工賃40,920) 🟡
ヘッドレストが突然飛び出す ディーラー見積もり85,000円 🟢
メインバッテリー(AGM・トランク内) 37,000円 🟢
テスター診断(原因の特定) 6,600円〜

緊急度の目安: 🔴=走り続けずすぐ点検 / 🟡=放置すると被害が広がる。早めに点検 / 🟢=走行は可能。都合のよいときに修理へ

★金額は整備工場の公表値・作業記録に基づく目安です。頼み先(ディーラー/専門工場/中古・リビルト品=再生部品)で倍近く変わるため、必ず実車で見積もりを取ってください。

※走行中に警告灯が点いた場合は、箇所を問わず走り続けないでください。

まず年式の確認: 2013年5月で前期と後期に分かれる

W212は4代目Eクラスです。日本では2009年5月に発表され、2013年5月の大幅なマイナーチェンジから後期型になりました。

見分けはヘッドライトが早いです。前期は目が離れた角目の4灯、後期は左右つながった流線型の1灯。リアフェンダー前方の折れ線も後期で消えています。

確実なのは車検証の「型式」欄です。下の対応は、国土交通省のリコール届出一覧表に実際に載っている型式です。

車検証の型式 グレード 世代
DBA-212047C E250 CGI(1.8L) 前期
RBA-212036C E250(2.0L) 後期
DBA-212054C E300(V6) 前期
RBA-212055C E300(V6) 後期
LDA-212024C E350 BlueTEC(ディーゼル) 前期・後期の両方に設定
CBA-212072 E550(5.5L V8) 前期
CBA-212073 E550(4.7L V8ターボ) 後期

(出典: 国土交通省 リコール届出一覧表 外-2929・外-2157)

同じ「E250」でも、前期は1.8L、後期は2.0Lで中身が別物です。後期の2.0L(M274)には、あとの章で書くガソリン漏れが出ます。

→ 次にすること: 車検証の型式欄を写真に撮っておく。見積もりや部品注文のとき、これだけで話が早く終わります。

リコールは2件。前期はエアバッグ、2012年8月以降は火災のおそれ

当たる年式が違うので、順番に見てください。

1件目: 運転席エアバッグ(タカタ製)・届出番号 外-2929

2016年6月30日にメルセデス・ベンツ日本から届け出られました。届出書の原文はこうです。

運転者席用エアバッグのふくらませる装置で、ガス発生剤の湿気対策が不適切だと、高い湿度で温度変化を繰り返すうちに劣化することがある。そのため、エアバッグが開くときに容器が破損するおそれがある

改善措置は「全車両、エアバッグユニットを対策品と交換する」です。届出全体では55車種87,239台。うちW212(212系)の内訳は次のとおりです。

通称名 型式 台数
E250 CGI DBA-212047C 2,882
E250 CGI ステーションワゴン DBA-212247C 517
E300 DBA-212054C 1
E350 DBA-212056C / DBA-212056 1,565
E350 ステーションワゴン DBA-212256C / DBA-212256 352
E350 BlueTEC LDA-212024C 200
E350 BlueTEC ステーションワゴン LDA-212224C 440
E350 4MATIC ステーションワゴン DBA-212287C 1
E550 CBA-212072 830
E550 ステーションワゴン CBA-212272 162
E63 CBA-212077 126
E63 ステーションワゴン CBA-212277 12
合計 7,088

(出典: 国土交通省 リコール届出一覧表 外-2929)

輸入期間は2009年1月から2011年11月まで。前期のW212が対象です。対策済みの車には、運転席側ドアを開けたところのドアロックストライカー付近に「外No.2355」または「外No.2929」のステッカーが貼られます。

2件目: 火災のおそれ(ラバーシール)・届出番号 外-2157

2015年3月10日の届出です。エンジンルームのゴムのシールが取り付け不良で、ボンネットを開けたときに裏面にくっついて外れることがある。そのまま閉じるとエンジンと隔壁の間に落ちて、高温の触媒に接触して火災に至るおそれがある

こちらは不具合3件・うち一部焼損1件が実際に報告されています。改善措置はクランプを追加してシールを付け直す作業です。

届出全体は31車種19,654台で、W212分は15,938台。輸入期間は2012年8月20日から2015年1月23日で、後期を中心とした個体が当たります。

グレード群 W212分の台数
E250・E250 ステーションワゴン 8,600
E250 CGI・E250 CGI ステーションワゴン 1,801
E300系(4MATIC・ワゴン含む) 2,404
E350・E350 ステーションワゴン 1,873
E400 HYBRID 543
E550系 231
E63系(S・4MATIC・ワゴン含む) 486

(出典: 国土交通省 リコール届出一覧表 外-2157)

対策済み車のステッカーは「No. 外-2157」です。

よくある誤解: 助手席エアバッグのリコールはW212のセダン・ワゴンではない

W212を調べると、タカタ製エアバッグの「35,467台」「43,779台」という数字が出てくることがあります。これは助手席側のリコール(外-2414・外-2465)で、届出一覧表の原本を確認すると、Eクラスで入っているのはクーペとカブリオレ(207系)だけ。セダンとステーションワゴンのW212は対象に入っていません。

W212のセダン・ワゴンに関係するのは、上の外-2929(運転席側)のほうです。数字で判断せず、車台番号で照会してください。

→ 次にすること: 車検証の車台番号を控えて、メルセデス・ベンツ日本または正規ディーラーでリコールの実施状況を確認する。中古で買った車でも、前のオーナーが未実施なら無償で受けられます。

ガソリンのにおいは高圧ポンプまわり。放置しない

後期のE250(2.0L・M274)で報告が集まっているのがこれです。エンジンルームからガソリンのにおいがする、という症状で入庫します。

東京・世田谷の輸入車修理専門店には、高圧ポンプ付近のにおいが強く、金属カバーに茶色い跡、下回りにも漏れた跡が残っていた実例があります。原因はポンプに入る燃料ホースの劣化で、外したホースは熱で硬くなっていました。同店は「このエンジンではよくある症状」と書いています。

奈良県天理市の整備工場にも、走行中のガソリン臭で入庫し、同じくポンプに入るホースからの漏れが見つかった記録があります。作業はホースとホースバンドの交換です。

ガソリン漏れは、においの段階で止められる数少ない故障です。「気のせいかな」で乗り続けないでください。

→ 次にすること: 朝いちばんにボンネットを開けて、においと、ポンプまわりの茶色い跡を見る。跡があればその日のうちに工場へ。

オイル漏れは定番。V6ディーゼルはオイルクーラーが厄介

W212のオイル漏れで多いのは、フィルターハウジングのパッキンとオイルクーラーまわりです。

山口県光市の輸入車修理工場には、W212のE350で「駐車場にオイル跡が付いていた」という相談があり、オイルフィルターハウジングガスケットの破れが原因でした。費用は部品代16,885円・工賃40,920円で、合計57,805円(税込)です。

一方、V6ディーゼル(642型)のオイルクーラーは金額が跳ねます。東京の専門工場の解説では、交換するのは裏側の2つのパッキンだけなのに、吸気ダクト・インテークマニホールド・ターボまわりを全部外す必要があります。部品は安く、工賃が高い作業です。

放置すると漏れたオイルが周辺の部品を傷めます。メルセデス全体のオイル漏れの相場と直し方はベンツ オイル漏れ 定番3箇所・専門店3万円〜にまとめています。

→ 次にすること: 駐車場所にシミがないか、月に1度だけ見る。早いほど工賃だけで済みます。

7速ATの変速不良は制御基板。ATFだけ替えても直らない

W212は7速AT(7G-TRONIC)です。定番の症状はこれです。

  • ギアが固定されたまま変速しない
  • Dに入れても発進しない
  • 変速のたびにショックが出る

新潟県三条市の整備工場には、ギアが固定になった状態で入庫したW212の記録があります。読み取れたコードはP2767ほか複数で、原因はバルブボディ(内部の制御基板とセンサー)。作業はバルブボディとスピードセンサーの新品交換、ATF交換、センサーの認識作業です。

費用は頼み先で大きく動きます。7速ATの制御基板を専門に扱う業者の公表価格は、新品基板の交換が216,000円(脱着工賃・ATF・同時交換部品込み)、外した基板を直す現品修理が55,000〜66,000円です。

同じ作業をディーラーに頼むと約30万円という比較も出しています。横浜のベンツ専門店も、7速AT修理をディーラー約30万円に対して自社約15万円と公表しています。

「変速がおかしい→とりあえずATF交換」は遠回りです。先に診断機でコードを読むのが最短で、テスター診断は6,600円からあります。メルセデス全体のミッション修理の考え方はベンツ ミッション修理費 ATF4.5万〜基板修理までへ。

→ 次にすること: 変速の違和感が出たら、ATF交換を頼む前にテスター診断でコードを読む。

ワゴン(S212)はリヤだけエアサス。車高が下がったら早めに

W212のステーションワゴンは、荷物を積んでも後ろが沈まないようリヤだけエアサスになっています。ここが経年で空気漏れを起こすと、駐車中に車高が下がります。

東京・町田の輸入車専門工場は、W212後期でリヤのエアサスを交換した作業を公開しています。交換後はアライメント調整まで必要です。

費用は横浜のベンツ専門店の公表値で、エアサスは1本20万円ほど、工賃込み23万円の見積もりを11万円で仕上げた例があります。片側だけ下がっている段階で入庫すれば、部分修理で収まりやすくなります。

車種を問わないエアサスの相場と、直すか売るかの判断は外車のエアサス修理費はいくら?にまとめました。

→ 次にすること: 駐車中に後ろだけ下がっていないか、乗る前に一度だけ後ろから見る。

エアコン・オルタネーター・ラジエターは20万〜40万円の帯

年式が進んだW212で、まとまった金額になりやすいのがこの3つです。いずれも壊れ方は「ある日いきなり」です。

部位 症状 金額の目安
エアコンのコンプレッサー 冷えない・ガラガラ音 ディーラー20万〜30万円 / 専門店11万円 / 関連部品込み30万〜40万円
オルタネーター(発電機) バッテリー警告灯が点く ディーラー20万円以上 / 専門店10万〜11万円
ラジエター・クーラントパイプ 冷却水漏れ・水温上昇 20万円コース

コンプレッサーは春から秋に集中します。ラジエターまわりは走行距離が少なくても年数で来ます。東京・町田の工場には、E550でターボ用のクーラントパイプが大きく漏れ、レッカーで入庫した記録もあります。

W212のメインバッテリーはトランク内のAGMで、専門店の交換価格は37,000円です。バッテリー警告灯の切り分けはMercedes バッテリー警告灯 AGM/IBS/SCN W205/W213、エンジン警告灯はベンツ エンジン警告灯 オレンジ点灯は走行可 修理8千〜40万円、上がったときの対処はベンツ バッテリー上がり対処 W205/W213 交換4-9万円とAGM登録へ。

ヘッドレストが突然飛び出したら、故障ではなく作動です

運転席か助手席のヘッドレストが、何もしていないのに前方へ飛び出すことがあります。これは追突時に頭を支える装置(NECK-PRO)が作動した状態です。

オーナーの記録では、正規ディーラーの見積もりが85,000円程度でした。ただし別の店舗で見てもらうと、実際には引き戻すときに内部の爪をロックさせてしまっていただけで、1時間20分の作業で復旧しています。

走行に支障はありません。慌てて交換を決める前に、戻せる状態かを見てもらってください。

同じ故障でも、頼み先で修理費は倍近く変わる

W212は登録から9年から17年が過ぎた個体です。ディーラー保証は終わっていて、ここから先は頼み先の選び方がそのまま金額差になります。

工場選びで見るのは3つです。

  1. メルセデス専用の診断機を持っているか(ホームページに明記されていることが多い)
  2. W212の整備実績があるか
  3. 中古・リビルト部品(再生部品)や現品修理に対応できるか

3つめが効きます。7速ATの基板は新品交換216,000円に対して現品修理55,000〜66,000円、エアコンは20万〜30万円に対して11万円という差が公表されています。

車検が近いなら、車検と修理をまとめて頼める工場を先に探しておくと二度手間が減ります。福島県白河市の工場には、平成23年式のW212で法定費用43,350円を含む車検総額113,035円(タイヤ交換・オイル交換・診断機テスト・アドブルー補充込み)の実例があります。ベンツの車検の内訳はMercedes 車検費用の相場・時期・やり方へ。

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DIYでは直せない。できるのは症状を早く拾うこと

ここまでの故障は、どれもメルセデス専用の診断機と設備が要ります。オーナー側でできるのは、症状を早く見つけて修理を小さく済ませることです。

手元にあると効くのが、警告灯の原因コードを読めるOBD2診断機(運転席足元のコネクタに差す機器)です。読めるのは手がかりまでで、本格的な診断はプロに任せてください。中古のW212を見に行くときに持っていくと、消される前の警告灯の履歴をその場で確認できます。

診断機は「まず安く試す」か「確実に広く見る」かの2タイプです。

タイプ 向いている人 できること
まず安く試す: ELM327(汎用Bluetooth) まず警告灯の正体だけ知りたい人 エンジン系の故障コード(Pコード)の読み取り。初動の切り分けに
確実に広く見る: iCarSoft CR Pro+(40+ブランド対応) 輸入車を長く乗る・自分で切り分けたい人 全システム診断+各種リセットまで。メルセデスほか欧州車を1台でカバー

ELM327は安い分、エアバッグ(B系)・ABS(C系)やメルセデス独自の項目は読めないことが多い点は割り切りを。機種選びの全体像は外車OBD2診断機の選び方へ。

W212は電装が多く、電圧が落ちると関係のない警告灯まで出ます。トランクのバッテリーが弱ってきたら、早めに替えるほうが結果的に安く済みます。

よくある質問

Q. 前期と後期、どちらが安心ですか? A. 後期です。前期は初期のトラブルが多く、リコールも運転席エアバッグが前期側に当たります。ただし後期には火災のおそれのリコール(外-2157)があるため、どちらを選んでも実施状況の確認は必要です。

Q. ディーゼルのE350 BlueTECは高くつきますか? A. 燃料代は有利ですが、オイルクーラーの漏れなど工賃の高い作業があります。尿素水(アドブルー)の補充も要ります。やり方は外車ディーゼル アドブルー補充、すすが詰まる側は外車ディーゼルのDPF詰まりへ。

Q. 走行距離は何kmまでなら大丈夫ですか? A. 距離より整備記録です。エアサス・AT・エアコンに手が入っているかで、この先の出費がまったく変わります。記録簿のない個体は修理リスクを見込んで値段を判断してください。

Q. 中古のW212を買うとき、何を見ればいいですか? A. 4つです。ドア開口部のリコールステッカー(外No.2929・No.外-2157)、エンジンルームのガソリン臭、駐車時のリヤの下がり、そして整備記録簿。共通の注意点は買ってはいけない中古外車と警告灯へ。

Q. 保証を付けたほうがいいですか? A. 20万円超の部位が複数ある車なので、選択肢としては有効です。損得の考え方は外車の延長保証は必要か 故障リスクと損得にまとめています。

まとめ: リコール照会を、見積もりより先に

W212でいちばん損をしやすいのは、無償で直る作業に実費を払ってしまうことです。順番を守るだけで、この事故は防げます。

今日できる次の一歩

  • ガソリン臭・リヤの下がり・変速の違和感がある → 走り続けず、まず診断(6,600円〜)でコードを読む
  • 見積額が大きい → 無料査定で車の価値と並べて、直すか売るかを数字で決める
  • まだ症状なし → 車台番号でリコール2件の実施状況を確認し、ステッカーの有無も見ておく

修理費と並んで見直し余地が大きいのが自動車保険です。輸入車は保険料が高くなりがちで、同じ条件でも会社によって年数万円の差が出ます。Cクラス・Eクラスの実額と下げ方はベンツ 自動車保険 Cクラス/Eクラス 年14-26万 5社比較、外車全体の相場は外車の自動車保険は高い?現役販売店が実額で答えるへ。

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